社 側 |
|
今年1月に当選し、大阪府知事に就任した橋下徹知事の改革が話題になっている。5兆円にも及ぶ負債を抱え、9年間で6500億円を削減せねば府が「財政健全化団体」に転落する、と知事は訴えている。そのために知事は「プロジェクトチーム(PT)」を発足させ、PT案として府職員の人件費カットなどを打ち出しているが、その中で「府施設の廃止・売却を含めた見直し」「財団の廃止」は府民のセーフティネットにかかわる由々しき問題だ。この番組は、改革に邁進する橋下知事と、その改革によって売却などの、見直しが検討されている施設に携わる人々の苦闘にスポットを当て、「真の行政のあり方とは?」を問うている。番組は全編録音構成によるドキュメンタリーで知事の立候補・選挙戦・知事就任後の会見や会議での発言など主な物は、ほとんど盛り込んでいる。また施設に携わる従業員や財団、施設利用者や施設の存続を訴える団体の方々などにも直接取材を依頼し、生の声をふんだんに取り入れている。ラジオは弱者のメディアだ。府の財政再建は確かに大事だが、そのために府民の暮らしが犠牲になることは避けねばならない。ここに込められた従業員や財団、利用者や支援者からの声は、そんな「弱者の叫び」だ。この番組のプロデューサーである私・初田は3ヶ月あまりにわたり弱者を、そして知事を追い続けた。その動向によっては弱い立場の府民が文化を享受出来なくなり、相談を持ち込めなくなる恐れもある。弱い立場の府民の暮らしを支える施設をなくす事が、果たして「子どもが笑う大阪」につながっていくのか。その事を、その生の声とともに一度考えていただければ、制作者としてこれほどうれしいことはない。
|
委 員 |
|
今回のドキュメンタリー形式の報道番組はすばらしい。多方面の、直接・間接関係者の生の声を十分生かしているし、聞き入った。まさしく聞いてみたかったドキュメントだ。ホットで、シビアな内容であり、先行きの不透明さがますます明らかになっていく大阪府の行政実態が浮き彫りになっている。プロデューサーの視点はとても大事だ。知事の手法は、若い世代の荒い手法と受け取れるが、一方でエールを送る多くの府民にもぜひ、聞かせてあげたいものだと思う。大阪から文化の灯りを弱めていくことは誰も賛成しない。その社会的意味を、歴史的意味を失うことにもなる。ただ、これまでのやり方、形態を継続することのみでなく、新しい工夫、視点で再構築する知恵が問われる。
|
委 員 |
|
タイトルを見て大上段に構えた番組かと思ったが、解説が分かりやすく自然に聞くことができた。この番組の聴取者は必ずしもアンチ橋下にもならないし、まずまず客観的で公平な扱い方をしていた。
|
委 員 |
|
全体的に良くできている。1時間で一連の経緯もまとめられている。大阪以外の人が聴いてもわかる内容だ。今まで取り上げられなかった負の側面でいろいろ影響を受ける人に焦点を当て、構成した点は良い。訴える力があった。ただ、橋下知事のインタビューがなかった。もし、この番組の中で、改めて改革についての知事のインタビューがあれば、番組としての一つの提言を出せたのではないか。
|
委 員 |
|
多くの施設をなくし、文化の切り捨てについて焦点を当てていた。ただ、最後まで聴いていて、ではどうすれば良いのだろうという疑問が出てきた。知事と弱者という構図で番組ができていたが、それだけではなく知事と府会議員の考え方の違いなどもあるだろうし、その点についても触れて欲しかった。また番組の最後にいつか誰かが大なたをという言い回しがあったが、一体誰がやるのだろうと思った。x
|
委 員 |
|
報道でないとできない番組だ。文化というものは耕して水をやって育てるというものであるから、一度壊してしまうとなかなか育っていかないと思う。非常に客観的な内容で何か問題提起のようなものがあっても良かったのではないか。
|
委 員 |
|
1時間の番組は長かった。もう少し、内容的には短くまとめられたと思う。同じくらいの規模の施設で、その維持費と予算との比較があれば数値としての客観的な見方が出来たと思う。報道番組としては、もう少し客観的な数字があったほうが良い。
|
委 員 |
|
全体的に、特にタイトルからして橋下改革に反対している。内容も一方的なように感じた。府民は、総論的には橋下さんを支持しているし、彼の今やっていることはこれまでの府政の全ての見直しである。番組としてはプロジェクトチームの人の声・知事の声が欲しかった。知事はドーンセンターを見て、必要性は感じつつもあのような大きなものはいらないと感じたのだろう。もう少しプロジェクトチームの声を入れ、中立的な立場の大学教授の声などを入れた方が良かったと思う。番組として偏りがみられたのではないか。
|
委 員 |
|
録音構成でのラジオ報道は昔は多くあったが、今はテレビに負けてしまっている感が否ない。ただ私は今後も、こういったドキュメンタリー形式の番組は続けていって欲しいと思っている。現場の声を多数集め、証言として集めつくっていった点はとても印象が良かった。ただ、この第一弾で終わってしまっては、欲求不満に陥ってしまう感じがする。橋下改革は本当は何をするのかを追いかけていって欲しい。そうでなければ、問題だけ投げかけて、終わる形になってしまう。いまテレビは事実を伝える前に、感情だけを投げかけて終わってしまっていることが多いように思う。それを補完する意味でもラジオ報道は続けていって欲しい。
|
社 側 |
|
貴重なご意見ありがとうございました。 |